サッカーにおける戦術の重要性とシステムの進化

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スポーツニュースやサッカー雑誌などでは、よくサッカーのクラブを語る際にそのシステムについて話題に上がります。

「ワントップ」や「4-4-2」「ゾーンプレス」など独特の言葉が並ぶため、初心者には少しわかりにくいかもしれません。

サッカーは広いフィールドの中にボールは1つだけですので、ボールのある場所での局地戦が行われます。サッカーにおける戦術の基本は数的優位を作ることで、局所における数的優位を作るためにフォーメーションなどのシステムが重要なのです。

フォーメーションは「4-4-2」や「3-4-2-1」のように選手の並び方を表すもので、システムとはこれに加えて試合中の局面に合わせた変化を加えたものを指します。戦術を実現するための仕組みがシステムだといっても良いでしょう。オフェンス時とディフェンス時でフォーメーションが変わったり、攻撃パターンによってフォーメーションが変わるシステムを採用しているクラブも多いです。

世界レベルではもちろん、Jリーグでも選手のレベルだけでなくこの戦術やシステムのレベルが大きく上がってきています。 現在のサッカーでは試合中に複数のフォーメーションを使い分け、対戦相手によって出場メンバーや採用する攻守のシステムを柔軟に変更できるチームがほとんどです。

監督やチーム事情によっても戦術やシステムは変わり、戦術・システムを見ればどのようなサッカーがしたいのかも見えてくるため、ぜひ関心を持って見てみてください。

サッカー戦術

資金力のないチームがサッカーのリーグ戦で優勝するのは難しい

サッカー優勝

サッカーの試合ではしばしば「アップセット」と呼ばれるものが発生します。これは番狂わせのことで、明らかに戦力の劣るチームが強いクラブに勝つことを指します。しかし、アップセットが起きるのはカップ戦と呼ばれるトーナメント戦がほとんどで、何十試合も戦って優勝を決めるリーグ戦においてはなかなか弱いクラブが優勝を果たすといったことは起こりません。資金力がないとリーグ戦で優勝できない理由は、基本的に選手層が薄いからです。

レギュラーが揃っていれば強豪チームと渡り合えても、何人かの選手がケガをしてしまうと戦力が大きくダウンするのが弱いチームの特徴といえます。そして、選手が足りなくなるのはやはり資金力がないからです。

資金力のあるクラブであれば多くの選手に高い年俸を払えるので、体力面での衰えがあり、レギュラーとして活躍することは無理でも控えなら十分活躍できる、実績十分のベテラン選手を獲得することも可能です。しかし、資金力のないクラブは計算のできる控え選手を獲得することが難しく、選手層を厚くすることができません。

サッカー資金力

また、お金がないと外国人選手の獲得も相当難しくなります。 どの国のリーグであっても、優秀な外国人選手を多く抱えているクラブはやはり強いです。

スペインのバルセロナやレアルマドリードのレギュラーはスペイン人だけではなく、各国の代表がずらりと並び、多国籍チームの様相を呈しています。いうまでもなく、バルセロナとレアルマドリードは巨額の資金を有しているクラブであり、だからこそ代表選手を買い集めることができるのです。

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マネーゲームを防ぐためのサッカー界の取り組み

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近年、サッカー界では資金力のあるクラブが巨額の投資を行い、世界中のトッププレーヤーを獲得する「マネーゲーム」が激化しています。

欧州の強豪クラブだけでなく、中東やアメリカのクラブも豊富な資金を背景に大物選手を次々と獲得し、戦力を強化しています。

これにより、クラブ間の経済格差が広がり、公平な競争が難しくなっているのが現状です。

特に、プレミアリーグのビッグクラブや、パリ・サンジェルマン(PSG)、レアル・マドリード、マンチェスター・シティなどのクラブは、移籍市場で莫大な金額を投じ、世界最高峰の選手を集めています。

このような資金力を持つクラブが市場を支配することで、財政的に余裕のないクラブが選手を獲得する機会が減少し、リーグ全体の競争バランスが崩れるという問題が生じています。

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マネーゲームを抑制し、公平な競争を維持するために、欧州サッカー連盟(UEFA)は「ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)」を導入しました。

FFPは、クラブが収入の範囲内で健全な経営を行い、過度な赤字経営や不公平な資金投入を防ぐことを目的としています。

FFPの基本的なルールは、クラブが一定期間内に支出できる額を収益の範囲内に抑えるというものです。

例えば、放映権料、スポンサー収入、チケット売上などの収益を超えて選手獲得や給与に巨額の資金を投入すると、違反と見なされ、UEFAの規則により処分が科されることがあります。違反したクラブには、罰金や選手登録の制限、最悪の場合は欧州カップ戦の出場禁止といった厳しい制裁が下されます。

過去には、マンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンなどのクラブがFFPの調査対象となり、一部のクラブは財政規則違反によって処分を受けました。

しかし、一部の富裕クラブは巧妙なスポンサー契約を通じて収益を膨らませるなど、FFPの規制を回避する動きも見られています。このため、UEFAはより厳格な監視体制を敷き、実効性を高めるための改良を進めています。

また、プレミアリーグでは独自の財政規則(PSR=Profit and Sustainability Rules)を導入し、クラブの経済的健全性を保つための基準を設定しています。

最近では、エバートンやノッティンガム・フォレストがPSR違反によって勝ち点剥奪の処分を受けており、リーグとしても財政管理を厳しく行っていることが伺えます。